エル「転職したのに、毎日が苦しい…」



「こんなはずじゃなかった」
と後悔していませんか?
理学療法士としてのキャリアアップや環境改善を目指した転職が、かえって状況を悪化させてしまうケースは少なくありません。その失敗、実は多くの理学療法士が経験する共通の落とし穴にはまっているのかもしれません。
厚生労働省の需給推計では、早ければ2026年にも理学療法士の供給が需要を上回ると予測されており、「資格さえあれば安泰」という時代は終わりを告げようとしています。このような状況で目的のない転職をすることは、キャリアの停滞を招く危険な行為です。
この記事では、数多くの転職事例を分析し、理学療法士が陥りがちな失敗パターンとその根本原因を徹底的に解明します。
さらに、失敗を未然に防ぐ具体的な行動計画から、万が一失敗した場合の対処法、そしてその経験をバネにさらなる飛躍を遂げるための長期的なキャリア戦略までを網羅的に解説します。
この記事を読み終える頃には、今の苦しい状況から抜け出し、自信を持って次のキャリアへ踏み出すための一歩が見えているはずです。失敗を学びに変え、あなただけの理想のキャリアを実現させましょう。
- PTが陥りがちな転職失敗パターン
- 失敗を未然に防ぐ具体的な行動計画
- 失敗した場合の対処方法
理学療法士の転職でよくある失敗パターンと根本原因


「なぜ転職?」目的が曖昧なままの活動
転職失敗の根源は、「なぜ転職するのか」という目的の曖昧さにあることが多いです。
「今の職場に不満があるから」「知人が転職したから」といった漠然とした動機だけでは、次の職場でも同じような不満を抱え、再び転職を繰り返す負のループに陥りかねません。
- 今の職場の待遇が良くない
- 友達も転職して成功したから
- 給料がよさそうだから など
特に、理学療法士の供給数が需要を上回ると予測される現代において、「資格さえあれば安泰」という時代は終わりを告げています。このような市場環境で目的のない転職をすることは、キャリアの停滞、あるいは待遇の悪化に直結する危険な行為です。
転職は単なる環境の変化ではなく、「自身のキャリアをどう築いていくか」という戦略的な一手であるべきです。
例えば、「整形外科領域の専門性を高めたい」「在宅医療に深く関わり、利用者の生活を支えたい」といった具体的な目的があれば、おのずと選ぶべき職場の基準も明確になります。
- 専門領域の勉強をしたい
- 在宅医療に関わりたい
- 家庭を優先したい(家の近所がいい、定時で上がれるなど)
目的が明確であれば、求人情報の取捨選択が容易になり、面接でも一貫性のある自己アピールが可能になります。 転職活動を始める前に、まずは一度立ち止まり、自身のキャリアの方向性を深く見つめ直すことが、失敗を回避する最も重要な第一歩となるのです。



前向きな理由の方が職場の基準が明確になるね!


給与や休日だけを重視し、職場の実態を見落とす
給与や年間休日、福利厚生といった条件面は、転職先を選ぶ上で非常に重要な要素です。しかし、これらの目に見える条件ばかりに囚われてしまうと、入職後に「こんなはずではなかった」というミスマッチが生じる大きな原因となります。
例えば以下のようなものがあります。
訪問リハで高収入!
ノルマがきつく、一日に回る件数が多い。休みが取れない
年間休日○○日
給料が安い
人間関係良好!
飲み会やイベントなどのほぼ強制的参加
実際に働いてみないと分からない職場の雰囲気や人間関係は、日々の業務の満足度や長期的なキャリア形成に大きな影響を与えます。
そのため、条件面だけで安易に飛びつくのではなく、なぜその好条件が提示されているのかという背景を考察することが重要です。



給料いいけど、休みや残業時間はどうかな?
働く上で自分が何を最も大切にしたいのか、「これだけは譲れない」という軸を一つ決めておくと、条件の優先順位がつけやすくなります。
待遇という「点」で判断するのではなく、職場の理念や文化、スタッフの働き方といった「面」で捉える視点が、後悔しない転職先選びには不可欠です。
情報収集不足が招く「理想と現実」のギャップ
転職の失敗は、多くの場合、事前の情報収集不足が原因です。ネットで手軽に情報を得られるようになった一方で、求人票や公式サイトに掲載されている情報は、あくまで企業側が発信する「建前」であることも。
例えば、訪問リハビリの求人を見て、直行直帰可能で自由な働き方ができると期待して入職したものの、実際には事務所の設備が劣悪で、カンファレンスや書類作成のための残業が常態化しているといったケースも考えられます。
このようなギャップを生まないためには、複数の情報源から多角的に情報を集め、客観的な事実を把握する努力が不可欠。
- 転職エージェントから内部情報を聞き出す
- 口コミサイトでリアルな声を確認する
- 知り合いを伝って内情を聞く
- 職場見学に行く
リサーチ不足のまま転職することは、地図を持たずに航海に出るようなものです。入職後の後悔を避けるためにも、徹底した事前調査を怠らないようにしましょう。


自己分析不足で強みを活かせず「ついていけない」状況に
自分自身の強みやスキル、価値観を正しく理解していない「自己分析不足」も、転職失敗の典型的なパターンです。これまでの経験を振り返り、自分がどのような分野で力を発揮できるのか、どのような環境で成長したいのかを明確にできていなければ、自分に合った職場を見つけることは困難です。
例えば、急性期病院でのリスク管理能力に長けているにもかかわらず、その強みを自覚しないまま未経験の分野に挑戦し、全く評価されずに自信を失ってしまうケースがあります。逆に、特定の分野での深い知識と技術があるのに、それを求めていない職場で宝の持ち腐れになってしまうこともあります。
転職を成功させるためには、将来のキャリアプランを明確にし、それに基づいて自分の経験やスキルを棚卸しすることが不可欠!
「得意な分野や経験」「希望する働き方」「仕事で大切にしたい価値観」などを書き出し、客観的に自分を見つめ直す時間を作りましょう。
この自己分析を通じて、自身の市場価値と進むべき方向性が明らかになり、面接の場でも説得力のある自己PRができるようになります。



自己分析を徹底的にすること!


【実践】転職失敗を回避するための具体的な行動計画


キャリアの棚卸しと「譲れない軸」の明確化
転職活動を成功に導くための第一歩は、過去の経験を整理し、未来の目標を設定する「キャリアの棚卸し」です。
まず、これまでの業務内容、習得したスキル、実績や成果を具体的に書き出してみましょう。例えば、「脳血管疾患のリハビリで在宅復帰率を向上させた」「後輩指導の経験がある」など、些細なことでも構いません。 これにより、自身の強みや得意分野が客観的に見えてきます。
次に、その強みを活かして「5年後、10年後にどうなっていたいか」という長期的な視点でキャリアプランを描きます。この作業を通じて、「なぜ転職するのか」「転職して何を実現したいのか」という「転職の軸」が明確になります。
さらに重要なのが、理想の条件に優先順位をつけることです。
- 給与
- 勤務地
- 業務内容
- 人間関係
- ワークライフバランス
- 残業時間 など
すべての希望を100%満たす職場はほぼ存在しません。 だからこそ、「これだけは絶対に譲れない」という核心的な条件を一つだけ決め、それ以外は妥協できる点として整理しておくことが、迷った時の判断基準となり、入職後の後悔を減らすことに繋がります。



僕の場合、給与はそこまでこだわらなかったけど子供との時間が取れなくなるのは嫌なので、残業時間や自宅からの通勤時間などを優先しました。
求人票の裏側を読む情報収集と施設見学のコツ
求人票は重要な情報源ですが、その文字面だけを信じるのは危険です。
失敗を避けるためには、書かれている情報の裏側を読み解き、多角的な情報収集を行う必要があります。まず、給与や休日といった条件だけでなく、「業務内容」の詳細を徹底的に確認しましょう。使用されている言葉から、その職場が何を重視しているのか(例:「チーム医療」「在宅復帰支援」など)を推測します。
次に、転職エージェントや口コミサイト(OpenWorkやメディコなど)を活用し、内部の情報を収集します。特に、離職率や平均残業時間、有給休暇の取得率といった、求人票には載りにくいリアルな情報を得ることが重要です。
- 人間関係
- 離職率
- 平均残業時間
- 有給取得率 など
そして、最も効果的なのが「施設見学」です。実際に職場を訪れることで、求人票では決して分からない職場の雰囲気、清潔感、設備の充実度、そしてスタッフ同士のコミュニケーションの様子を肌で感じることができます。見学時には、案内してくれるスタッフだけでなく、すれ違う他の職員の表情や挨拶にも注意を払いましょう。
面接を「見極めの場」として活用する逆質問術
面接は、自分をアピールする場であると同時に、応募先が本当に自分に合う職場かを見極めるための重要な機会です。
効果的なアピールのためには、自身の経験やスキルを具体的なエピソードを交えて語ることが重要。
例えば、実績を数値で示すと説得力が増します。



前職では回復期リハビリテーション病棟で、退院支援に力を入れてきました。多職種連携カンファレンスを週に一度主催し、患者様の在宅復帰率を前年比で5%向上させた経験があります。
そして、面接の最後に設けられる「何か質問はありますか?」という時間は、絶好の「逆質問」のチャンスです。
ここで意欲や関心を示すだけでなく、職場の実態を探るための質問をしましょう。


転職エージェントを最大限に活用し、ミスマッチを防ぐ
働きながらの転職活動では、情報収集やスケジュール調整にかけられる時間が限られてしまいます。このような場合に非常に有効なのが、理学療法士専門の転職エージェントの活用です。
エージェントを利用する最大のメリットは、一般には公開されていない「非公開求人」を紹介してもらえる点にあります。
これにより、応募先の選択肢が大きく広がります。また、キャリアアドバイザーは、求人票だけでは分からない職場の内部情報(人間関係、離職率、職場の雰囲気など)に精通していることが多く、第三者の客観的な視点からアドバイスをもらえるため、ミスマッチのリスクを大幅に減らすことができます。
さらに、履歴書や職務経歴書の添削、面接対策、面倒な日程調整や自分では言いにくい給与・待遇の条件交渉を代行してくれるのも大きな利点です。
時間を節約し、より良い条件の転職先を見つけるために、転職エージェントを賢く利用しましょう。


もし転職に失敗したら?「人生終わり」じゃない後悔しないための対処法


まずは冷静に「失敗の原因」を分析する
転職して「失敗した」と感じた時、焦ってすぐに次の行動に移すのは得策ではありません。まずは一度立ち止まり、なぜ失敗だと感じているのか、その原因を冷静に分析することが重要です。一度不満を書き出してみましょう。
- 人間関係が悪い
- 聞いていた内容と業務内容が違う
- 給与や待遇に不満がある
- 職場のレベルが高すぎてついていけない
- 理不尽なことを要求される など
次に、その原因が「自分の努力や工夫で解決できるもの」なのか、それとも「組織の構造的な問題で、個人ではどうにもならないもの」なのかを切り分けて考えます。
例えば、知識やスキル不足が原因であれば、勉強会に参加したり、先輩に積極的に質問したりすることで状況が改善するかもしれません。この原因分析を怠ると、たとえ再転職したとしても、また同じ過ちを繰り返してしまう可能性があります。
失敗は辛い経験ですが、それを次に活かすための貴重な学びの機会と捉えましょう。



個人でどうにもできないものは考えるだけ無駄!
「すぐ辞める」のはNG?現職で状況を改善できる可能性を探る
「転職に失敗した」と感じたとしても、すぐに「再転職」という選択肢に飛びつくのは避けましょう。
なぜなら、短期間での離職は、職歴にマイナスの影響を与え、次の転職活動で不利になる可能性があるから。転職はあくまで最終手段と考え、まずは現在の職場で状況を改善できないか、あらゆる可能性を探ってみることが理想的です。
例えば、人間関係に悩んでいるのであれば、まずは上司や信頼できる同僚に相談してみましょう。業務内容に不満がある場合も、上司との面談で自分の希望やキャリアプランを伝えることで、やりがいを見出せるかもしれません。
重要なのは、不満を抱えたまま一人で悩み続けるのではなく、自ら行動を起こして環境に働きかけることです。
もちろん、心身の健康を損なうほどの深刻な問題がある場合は、自分の身を守ることを最優先に考えるべきです。その場合は退職代行を使ってでもなるべく早く対処しましょう。
短期離職のリスクを理解し、再転職の最適なタイミングを見極める
現職での改善努力もむなしく、どうしても状況が変わらない場合は、再転職を視野に入れることになります。
しかし、その際には短期離職がキャリアに与えるリスクを十分に理解しておく必要があります。 一般的に、在籍期間が1年未満での離職は、採用担当者に「忍耐力がない」「またすぐに辞めてしまうのではないか」といったネガティブな印象を与えがちです。



前の病院の看護師さんでも、すぐに辞めるのを繰り返している人がいました。
そのため、再転職の面接では、前職の退職理由について、採用側が納得できる明確で合理的な説明が求められます。
単に「合わなかったから」ではなく、失敗を学びに変え、次へのポジティブな動機に繋げられるかが鍵となります。



「今回の転職の失敗から、自分にとって働く上で最も重要なのは〇〇であると学びました。その軸に基づき、貴院の△△という点に魅力を感じ志望しました」
失敗を糧に飛躍する!理学療法士の戦略的キャリアプラン


「専門性」を武器に、供給過多の時代を生き抜く
今後の理学療法士市場は、養成校の急増により、需要を供給が上回る「供給過多」の時代に突入すると予測されています。この厳しい競争市場で自身の価値を維持し、キャリアを向上させていくためには、他者と差別化できる「専門性」を身につけることが不可欠です。
登録理学療法士から、特定分野の高度なスキルを持つ「認定理学療法士」、さらにその分野のスペシャリストである「専門理学療法士」を目指すキャリアパスは、自身の専門的価値を客観的に証明する強力な武器の一つとなります。


また、理学療法士の資格に加え、介護支援専門員(ケアマネジャー)や福祉住環境コーディネーターといった「ダブルライセンス」を取得することも極めて有効な戦略です。これにより、特に高齢者ケアや地域リハビリテーションの分野で、より包括的で価値の高いサービスを提供できるようになり、自身の職域と市場価値を飛躍的に高めることができます。
今は訪問リハの需要も増えており、ケアマネなど地域に役立てる資格はかなり有効ですね。


病院・施設だけではない!一般企業という新たな選択肢
理学療法士の活躍の場は、もはや医療や介護の臨床現場だけにとどまりません。身体や動作に関する深い専門知識は、多様な産業分野で新たな価値を生み出す可能性を秘めており、一般企業への転職も現実的なキャリアパスとなりつつあります。
- 医療・福祉機器メーカー:臨床経験を活かし営業職や製品開発、クリニカルスペシャリストとして活躍できます。
- 住宅・不動産業界:高齢者や障害を持つ人々が安全で快適に暮らせる住環境を提案するアドバイザーとしての役割が期待されます。
- 健康経営コンサルタント:企業の従業員の健康を維持・増進し、生産性を向上させる「健康経営」に取り組む企業で活躍の場が広がっています。
一般企業への転職は、臨床現場とは異なるビジネススキルの習得が求められますが、給与水準の向上や身体的負担の軽減、多様なキャリアパスといった大きなメリットも期待できます。
起業も視野に|自費リハビリ市場の可能性
公的医療保険制度の制約(リハビリ日数や単位数の上限)により、十分なリハビリを受けられない「リハビリ難民」の存在が社会問題となる中、新たな市場として「自費リハビリテーション」が急速に拡大しています。
これは、保険適用外で質の高いリハビリを提供し、改善を望む人々のニーズに応えるビジネスモデルであり、大きな成長が見込まれる分野です。
もちろん、独立開業するには、優れた臨床スキルだけでなく、マーケティングや財務管理といった経営者としての能力が不可欠となりますが 、自ら事業を創造するという道は、理学療法士のキャリアの究極的な形の一つと言えるでしょう。


まとめ
理学療法士の転職失敗は、誰にでも起こりうる厳しい経験ですが、決して「人生の終わり」ではありません。むしろ、自身のキャリアを深く見つめ直し、本当に望む働き方を見つけるための貴重な転機となり得ます。
本記事では、転職で後悔しないための具体的な方法を、失敗の典型的なパターン分析から、それを回避するための行動計画、そして万が一失敗した際の対処法まで、多角的に解説してきました。
最も重要なのは、目先の給与や休日といった条件だけに惑わされず、「なぜ転職するのか」という明確な軸を持つことです。その上で、徹底した自己分析と多角的な情報収集を行い、自分の強みを活かせる場所を戦略的に選ぶ視点が、供給過多の時代を生き抜く理学療法士には不可欠です。









