転職を希望する理学療法士にとって、採用担当者の目に留まる履歴書の書き方をマスターすることは、書類選考を突破するための重要な鍵です。
履歴書一枚で、あなたの第一印象や働く意欲が判断されると言っても過言ではありません。
この記事では、「理学療法士の履歴書」をテーマに、サイズや写真といった基本ルールから、項目別の具体的な記入法、そして最も重要となる志望動機と自己PRの作成術まで、例文を多数交えて徹底的に解説します。
さらに、ブランクがある場合の対処法などのケース別Q&Aや、セットで提出する職務経歴書の書き方のコツも網羅。この記事一本で、あなたの履歴書作成に関するあらゆる悩みを解決します。
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- 理学療法士転職に必要な履歴書の書き方
- 志望先に届く自己PR作成術
- ブランクがある場合などの対処法
まずはおさらい!理学療法士の履歴書作成の基本ルール

履歴書作成の基本ルール
- パソコンで作成する
- A4サイズ
- 写真はスーツで清潔感重視
- 送付状を用意する
履歴書と職務経歴書の違いとは?
PTの転職活動では、履歴書とあわせて職務経歴書の提出を求められることが一般的です。
履歴書で「あなたがどんな人か」という概要を示し、職務経歴書で「理学療法士として何ができるか」を詳しく解説するという役割の違いがあります。
まず履歴書とは、あなたの学歴や職歴、保有資格といった基本情報を記載する公的な書類です。
一方、職務経歴書は、これまでのキャリアで培った理学療法士としての経験やスキル、実績を具体的にアピールするための書類であり、決まった書き方はなく自由に作成します。
この二つの書類はセットで、あなたの志望動機を補強する重要なものになります。
作成のコツは、先に職務経歴書で自身の強みや実績をすべて書き出し、その中から最もアピールしたいことを要約して履歴書に転記する方法です。これにより、両方の書類で人物像にブレがなくなり、主張に説得力が生まれます。
【手書き?パソコン?】履歴書の形式は応募先に合わせるのがベスト
履歴書の作成は手書きでもパソコンでも基本的にどちらでも問題ありませんが、僕はパソコンでの作成をおすすめします。
なぜなら、圧倒的にパソコンの字のほうが読みやすいし、修正も楽だからです。
手書きのほうが気持ちが伝わるとも言えますが、手書きだから受かるということもありません。だったら読みやすいほうがいいですよね?
ただし、応募先から指定されている場合はそれに合わせて作成するようにしましょう。

履歴書はパソコンで作成しよう!
理学療法士の履歴書はA4?B5?サイズの選び方
市販の履歴書やWebのテンプレートにはA4とB5の2種類のサイズがありますが、PTの転職活動においては、A4サイズを選ぶのが一般的です。
特に、職務経歴書をあわせて提出する場合、ビジネス文書の標準であるA4でサイズを統一すると、採用担当者が管理しやすく丁寧な印象を与えられます。
また、A4はB5に比べて記入スペースが広いため、これまでのキャリアや理学療法士としての実績、熱意ある志望動機など、アピールしたい内容を十分に書き込める点もメリットです。
応募先から指定がない限りは、情報を整理してしっかり伝えられるA4サイズで作成しましょう。
採用担当者の第一印象を決める!証明写真の基本マナーと注意点
履歴書の証明写真は、採用担当者があなたの職務経歴やスキルを読む前に目にする、第一印象を決める重要なパーツです。
PTには専門職としての清潔感と誠実さが求められるため、写真は特に注意しましょう。
服装はスーツを着用し、髪は顔がはっきりと見えるように整え、明るく真摯な印象を与えることが大切です。
表情は歯を見せずに口角を少し上げた自然な微笑みを意識してください。
スマートフォンでの自撮りやスナップ写真の切り抜きは絶対に避け、3ヶ月以内にコンビニやスーパーにある証明写真機などで撮影した高品質なものを使いましょう。
万が一剥がれても誰のか分かるよう、写真の裏には氏名を記入しておくのがマナーです。



写真はスーツでさわやかに!
提出前に必ず確認!封筒の書き方と送付状(添え状)の役割
作成した履歴書を郵送する際は、封筒の書き方と送付状(添え状)の同封が、あなたの評価を左右する重要なビジネスマナーです。
封筒は書類を折らずに入れられる白い角形A4号を選び、表面には宛名を正式名称で記載し、左下に「履歴書在中」と赤字で書きましょう。
そして、理学療法士としての丁寧な印象を与えるために、必ず送付状を同封します。
これは誰が何の書類を送ったかを示す挨拶状の役割を持ち、簡単な志望動機を添えることで、あなたの熱意を伝える最初の機会にもなります。
履歴書や職務経歴書の中身だけでなく、こうした提出マナーを守る注意深い姿勢が、あなたの社会人としての評価に繋がります。
【項目別】採用担当者の目に留まる!理学療法士の履歴書の書き方


履歴書は基本的に空欄を作ってはいけません。全て記載して、記載すべきことがない場合も「特になし」と記載しておきましょう。


①基本情報(日付・氏名・住所・連絡先)でミスしないためのチェックリスト
履歴書の基本情報欄は、採用担当者が最初に確認する項目です。
ここでの誤字脱字や記入漏れは、注意力が不足しているという印象を与えかねません。以下のポイントを押さえておきましょう
基本情報のチェックポイント
- 日付:提出日を記載する(記入日ではない)
- 学歴・職歴欄の和暦・西暦はどちらかに統一する
- 住所は都道府県から書き、建物名や部屋番号まで省略せずに正確に記載
- 連絡先は繋がりやすい電話番号と確認しやすいメールアドレス
患者様の情報を正確に扱うPTにとって、こうした基本を丁寧に行う作業は、自身の信頼性を示す最初のステップです。
②学歴・職歴はどこから書く?分かりやすくまとめるポイント
学歴は高等学校から、職歴はすべての入退職歴を時系列で記入するのが基本です。
学校名、会社名(医療法人名など)は必ず正式名称で記載してください。
PTとしての職歴では、病院や施設名と合わせて「リハビリテーション科 配属」などと簡潔に書くと、あなたのキャリアがより伝わりやすくなります。
退職理由は「一身上の都合により退職」で問題ありませんが、面接で質問されることを想定しておきましょう。
すべての職歴を書き終えたら、改行して「現在に至る」と記し、最後に右詰めで「以上」と書いて締めくくるのが正しい書き方です。
③免許・資格欄で専門性をアピールする方法|認定理学療法士は書くべき?
免許・資格欄は、理学療法士としての専門性をアピールできる重要な項目です。
「理学療法士免許 取得」を最初に、取得年月日順に正式名称で記載するのが基本の書き方です。
認定理学療法士や専門理学療法士、呼吸療法認定士などの上位資格や関連資格は、あなたの学習意欲と専門性の高さを証明する強力な武器になるため、必ず記入しましょう。
また、訪問リハビリを希望する場合、普通自動車運転免許も忘れずに記載します。
現在、取得に向けて勉強中の資格があれば、その旨を書き添えることで、向上心をアピールする有効な方法となります。
④趣味・特技欄は人柄を伝えるチャンス!効果的な書き方とは
趣味・特技欄は、あなたの志望動機や自己PRを補強し、人柄を伝える絶好の機会です。
採用担当者は、あなたが職場に馴染めるか、ストレス耐性があるかといった面も見ています。
例えば「チームスポーツ」なら協調性、「筋力トレーニング」なら理学療法への探求心や体力、「読書」なら学習意欲といったように、PTの仕事に活かせる強みと関連付けて解説するのが書き方のコツです。
趣味・特技がPTの仕事に活かせるかどうかわからないときは、GeminiやChatGPTなどのAIに「こんな特技があって、理学療法士の転職を目指しているんだけど強みになるように書き換えて」と伝えるといい感じにアレンジしてくれますよ!
単に単語を並べるのではなく、具体的なエピソードや継続性(「〇年間続けています」など)を添えることで、あなたという本人への興味を引き、面接での会話のきっかけにもなります。
私が担当していた学生で、「私は自分を正当化することが特技だと思います。」と書いている学生がいましたが、これでは面接に通るはずないですよね…?笑
⑤「本人希望記入欄」には何を書く?給料や待遇面の希望は書いてもいい?
本人希望記入欄は、原則として「貴院(貴社)の規定に従います。」と記載するのがマナーです。
特に希望がない場合でも空欄にはせず、必ずこの一文を書きましょう。
給与や待遇などの具体的にここで記載するのは避けるべきです。
条件交渉は、内定が近づいた段階や面接の場で行うのが一般的です。
ただし、複数の職種を募集している場合や、希望する診療科がある場合など、応募する上で絶対に譲れない条件がある場合に限り、簡潔に記載します。
例えば「理学療法士としての勤務を希望いたします。」といった書き方です。
【例文多数】これで差がつく!理学療法士の志望動機の書き方


採用担当者はここを見ている!志望動機作成の3つのステップ
採用担当者が志望動機で見るのは以下の「なぜ当院か」「どう貢献できるか」「長く働いてくれるか」の3点です。
- なぜ当院・当施設か
- どう貢献できるか
- 長く働いてくれるか
この問いに答えるため、以下のステップを意識しましょう。
自身の経験や理学療法士としての価値観を整理する
応募先のことを徹底的に研究し、どんなPTを求めているかを理解する
「〇〇という経験を、△△という特徴を持つ貴院で活かしたい」というストーリーを作る。



自分こそが貴院に必要だというメッセージを伝える!
【施設形態別】志望動機の例文(急性期病院・クリニック・介護老人保健施設)
志望動機は応募先の施設形態に合わせて書き分けるのがコツです。
下記の例文を参考にしてみてください。
急性期病院
私は、発症・術後直後の患者様の予後を左右する急性期リハビリテーションの重要性に強く惹かれています。多職種と密に連携し、リスク管理を徹底しながら早期離床を進めるという、緊張感のある環境で専門性を高めたいと考えております。先進的なチーム医療を実践されている貴院において、これまでの経験で培った迅速なアセスメント能力と実践力を発揮し、患者様の機能回復と合併症予防に貢献することで、次の回復期へ円滑に繋ぐ役割を果たしたいです。
クリニック
これまでの臨床経験を通じ、患者様一人ひとりの生活に深く寄り添い、痛みの緩和から再発予防まで一貫して支援することに強いやりがいを感じてきました。地域医療に貢献し、特に運動器疾患の治療と予防に定評のある貴院であれば、私の強みである丁寧な評価と個別性の高いアプローチを最大限に活かせると確信しております。患者様の日常の質を高めるパートナーとして、一日も早い社会復帰と健康維持に貢献したいです。
介護老人保健施設
病院での勤務を通じて、多くの患者様が退院後の生活に不安を抱えている現状に触れ、在宅復帰を直接支援するリハビリに携わりたいという思いを強くしました。利用者様一人ひとりの生活背景を深く理解し、ADL(日常生活活動)の向上に直結する具体的なプログラムを提供することを得意としております。在宅復帰支援に特に力を入れている貴施設で、看護・介護職員の方々と一体となり、利用者様の「家に帰りたい」という願いを叶える一助となりたいです。
【状況別】志望動機の例文(新卒・未経験分野への挑戦・ブランクあり)
自身の状況に合わせた志望動機を作成することが、採用担当者の納得感を高めます。
【新卒】の場合は、実務経験がない分、学習意欲と将来性をアピールします。「貴院の充実した新人教育のもとで専門性を高め、一日も早く貢献したい」といった熱意が伝わる書き方をしましょう。
【未経験分野】へは、これまでの経験で得たスキルと挑戦意欲を結びつけます。「〇〇で培った対話力を、新たに△△分野で活かしたい」と伝えます。
【ブランク】がある方は、その期間の学習内容や復職への強い意志を示すことで、採用側の不安を払拭する注意が必要です。
新卒
臨床実習で急性期リハビリテーションの現場を経験し、医師や看護師など多職種が連携して患者様の機能予後を左右する重要な時期を支える姿に感銘を受けました。大学で学んだ解剖学や内部障害理学療法の知識を基盤に、リスク管理能力を徹底的に身につけたいです。教育体制が充実している貴院で、早期離床・早期回復に貢献できる専門性の高い人材へと成長したいです。
未経験分野
急性期病院で勤務する中で、退院後の患者様の生活を支える地域医療の重要性を痛感し、予防医学にも関わりたいという思いが強まりました。病院で培ったリスク管理能力や全身状態を把握する視点を活かしつつ、貴院では一人ひとりの患者様と長期的に向き合い、痛みの根本改善から再発予防まで幅広く貢献したいと考えております。未経験の分野ですが、積極的に学び、即戦力となれるよう努力します。
ブランク
約〇年間、出産・育児のため臨床を離れておりましたが、子育てを通じて、怪我の予防や健康維持の重要性を生活者の視点で実感いたしました。この期間も研修会への参加や専門書の学習を続け、知識のアップデートに努めてまいりました。地域の方々の健康に長く貢献できる貴院で、ブランク期間に得た経験も活かしながら、再び理学療法士として患者様のお役に立ちたいです。
「貴院の理念に共感し…」だけはNG!やってはいけない志望動機の例
採用担当者に「またこのパターンか」と思われかねないNGな志望動機には注意が必要です。
その典型例が「貴院の理念に共感しました」だけで終わるものです。
どの理念の、どの部分に、自身のどんな経験から共感したのかを具体的に述べなければ、志望度の高さは伝わりません。
「学ばせていただきたい」という受け身の姿勢も、「貢献」する視点が欠けているためマイナス評価に繋がります。
給与や休日といった待遇面を志望動機にすることも避けましょう。どの施設でも通用するような抽象的な言葉ではなく、あなた自身の言葉で「なぜここなのか」を語ることが何より重要です。
- 貴院の理念に共感しましたはNG
どうしても思いつかない…そんな時の志望動機の見つけ方・考え方
志望動機が思いつかない時は、一度原点に立ち返る作業が有効です。
まずは「なぜ理学療法士になったのか」「どんな療法にやりがいを感じるか」など、自身のキャリアの軸を再確認しましょう。
次に、応募先のウェブサイトを隅々まで読み込み、院長の挨拶やスタッフ紹介から、施設の理念や特徴を徹底的に分析します。自分と施設との共通点が見つかるはずです。
また、僕は研究もしているので、その施設がどんな発表をしているかも調べます。
調べ方は医中誌やGoogle scholar、できる方はPubMedやResearchmapなども使って病院名を入れると研究発表内容が出てきます。
それでも難しい場合は、転職エージェントのキャリアアドバイザーといった第三者に相談し、客観的な視点から自分の強みや適性を言語化してもらうのも良い方法です。
経験と強みを効果的に伝える!理学療法士の自己PR作成術


自己己PRで伝えるべきは「経験・スキル」と「貢献意欲」
自己PRは、あなたが即戦力として活躍できる人材であることを証明する項目です。
ここで伝えるべきは、あなたの「経験・スキル」と、それを活かして「どう貢献したいか」という意欲です。
まず「私の強みは〇〇です」と結論から述べ、次にその強みを裏付ける具体的なエピソード(課題、行動、結果)を続けます。
最後に「この経験を活かして、貴院の△△という点で貢献したい」と、入職後の活躍イメージを明確に提示して締めくくります。
この構成で書くことで、採用担当者はあなたの能力と貢献意欲を具体的に理解でき、採用後のミスマッチを防ぐことができるのです。
自己PRのポイント
- 私の強み
- その根拠とエピソード
- 強みが貴院にどう生かせるか
【強み別】自己PRの例文(コミュニケーション能力・向上心・技術力)
あなたの強みを効果的に伝える例文を紹介します。
【コミュニケーション能力】が強みなら「患者様やご家族の不安に寄り添う傾聴力と、多職種カンファレンスでの的確な情報共有で、円滑なチーム医療に貢献してきました」と伝えます。
【向上心】は「〇〇の資格取得後も学習を継続し、得た知識を基に院内で勉強会を企画・実施しました」のように、主体的な行動を示すと良いでしょう。
【技術力】をアピールする際は「運動器疾患に対する徒手療法の技術に自信があり、〇〇という実績を上げてきました。この技術で貴院の整形外科領域に貢献できます」と具体的に記述します。
数字を用いて具体的に!実績をアピールする自己PRのコツ
自己PRの説得力を高めるコツは、実績を数字で示すことです。



「患者さんのことを第一に考えて業務を実践しました」
と言われても、それはみんなそうだろ!って感じじゃないですか?
ROMでも、「可動域が改善」ではなく、「〇度→〇度の改善」と記載したほうが伝わりますよね。
「リハビリ業務を改善しました」よりも「担当チームの在宅復帰率を5%向上させました」と表現する方が、あなたの貢献度が具体的に伝わります。
例えば、以下のような点の実績を探してみましょう。
- 1日の担当患者数や単位数
- 後輩指導の人数
- 勉強会の企画・開催回数
- 患者満足度アンケートの結果 など
華々しい実績である必要はありません。日々の業務の中で工夫した結果、生まれた小さな変化を数字で語ることで、あなたの仕事への取り組み方や課題解決能力を客観的にアピールできます。
経験が浅い・アピールできる実績がない場合の自己PRの書き方
経験が浅い場合、華々しい実績がないのは当然です。
重要なのは、実績ではなくあなたの「ポテンシャル」と「仕事への姿勢」をアピールすることです。
学生時代の臨床実習で何を学び、どんな理学療法士になりたいと考えたのか、具体的なエピソードを交えて語りましょう。
「〇〇という課題に対し、指導者の助言を素直に受け入れ、△△と工夫した」という経験は、あなたの吸収力と誠実さを示します。
これから学びたい分野や取得したい資格を具体的に述べることで、高い学習意欲と将来性を伝えることができます。現時点での能力ではなく、これからの成長を期待させる書き方がコツです。
【職務経歴書】自己PRと連動させて説得力を高める方法
履歴書と職務経歴書の自己PRは、連動させることで説得力が飛躍的に高まります。
まず、履歴書の自己PR欄は「キャッチコピー」と捉え、あなたの最も伝えたい強みを簡潔にまとめます。
そして、職務経歴書の職務内容の欄で、その強みが発揮された具体的な業務エピソードを詳しく記述し、履歴書の内容を裏付けます。
例えば、履歴書で「課題解決能力が強みです」と述べたなら、職務経歴書で「〇〇という課題に対し、△△を導入して解決した」という実績を示すのです。
この一貫したストーリーが、あなたの強みに客観性と信頼性を与えます。
【ケース別】こんな時どう書く?理学療法士の履歴書の悩みQ&A


職歴にブランク(空白期間)がある場合の効果的な伝え方
職歴のブランクについて、採用担当者は働く意欲やスキルの低下を懸念します。
大切なのは、その期間に何をしていたかを正直かつポジティブに伝えることです。
例えば、育児や介護、留学などが理由であれば、その旨を本人希望欄や自己PR欄で簡潔に説明しましょう。特に「ブランク期間中も〇〇の研修に参加し、理学療法の最新知識を学んでおりました」のように、学習を継続していた事実を伝えられれば、働く意欲のアピールに繋がります。
やむを得ない理由であっても、そこから何を得て、今後の理学療法士としてのキャリアにどう活かしたいか、前向きな姿勢を示すことが信頼回復のコツです。
短期間での退職歴…不利にならない退職理由の書き方とは?
短期間での退職歴は「またすぐに辞めてしまうのでは」という懸念を抱かせがちです。
履歴書の職歴欄には事実を正直に書き、退職理由は「一身上の都合により退職」とします。
重要なのは、面接で質問された際の伝え方です。前職への不満を述べるのは絶対に避けましょう。
「〇〇という理学療法を追求したいと考え、キャリアチェンジを決意しました」のように、あくまで自身のキャリアプランに基づいたポジティブな理由として説明するのが書き方のコツです。
その上で、短期離職に至った点は真摯に反省し、今後は腰を据えて長く貢献したいという強い意欲を示すことで、採用担当者の不安を払拭することができます。
パート・アルバイト希望の場合の履歴書の注意点
パート・アルバイトを希望する場合、履歴書で最も重要なのは「本人希望記入欄」です。
希望する勤務日数や曜日、時間帯などを具体的に記載しましょう。
「週3日(月・水・金)、9時〜16時の勤務を希望します」のように明確に書くことで、採用後のミスマッチを防ぎます。扶養内での勤務を希望する場合も、ここに明記してください。
また、パートだからといって志望動機や自己PRで手を抜いてはいけません。正社員と同様に、あなたのスキルや経験をどう活かせるか、熱意を伝えることが重要です。
これまでのアルバイト経験も、応募先の理学療法に関連するものであれば、職歴としてアピールできます。
異動や転籍が多い場合の職歴欄のまとめ方
異動や転籍が多い場合、職歴欄が見づらくならないよう工夫が必要です。
まず、同一法人内での異動であれば、入職した法人名の下に、配属された施設名を時系列でまとめて記載するとスッキリします。
一行で「〇〇病院にて急性期、△△クリニックにて外来の理学療法を経験」のようにまとめる書き方もあります。
すべての経歴を履歴書に書ききれない場合は、職務経歴書を有効活用しましょう。履歴書には概要を記し、「詳細は職務経歴書をご参照ください」と一言添えます。多くの経験はあなたの強みです。キャリアの一貫性や多様な環境への適応力を自己PRでアピールすることが大切です。
賞罰欄には何を書くべき?どこまで記載する必要がある?
履歴書の賞罰欄の「賞」とは、学会賞や全国レベルの表彰など、客観的に評価される受賞歴を指します。
理学療法に関連するものであれば、アピールになるので記載しましょう。
一方、「罰」は懲役や罰金刑などの刑事罰を指します。交通違反による反則金(青切符)は行政罰のため、記載する必要はありません。
もし記載すべき賞罰が何もない場合は、空欄にせず、必ず「賞罰なし」と記入してください。
空欄のまま提出すると、記入漏れと判断されたり、何かを隠しているのではないかと疑念を抱かれたりする可能性があるため注意が必要です。
履歴書とセットで万全!理学療法士の職務経歴書の書き方


採用担当者が職務経歴書で知りたい情報とは?
採用担当者は職務経歴書から、あなたが「即戦力として自院で活躍できる理学療法士か」を判断しようとしています。
具体的には、これまでにどのような規模や特徴を持つ施設で、どんな疾患の患者様を対象に、どのような理学療法を提供してきたのかを知りたがっています。
リーダーや新人指導といった役職経験、業務改善の実績、学会発表などの成果も重要な評価ポイントです。
単なる業務の羅列ではなく、あなたの経験やスキルが、応募先でどのように活かせるのかを具体的に示すことが、採用担当者の知りたい情報に応える書き方のコツとなります。
- どんな特徴のある施設で
- どんな疾患の患者様を対象に
- どのような理学療法を提供したのか
- どんな役割があったのか
- 研究業績はあるのか
- 業務改善の実績はあるのか
職務経歴の分かりやすいまとめ方(編年体式・キャリア式)
職務経歴のまとめ方には、主に「編年体式」と「キャリア式」の2種類があります。
編年体式は、職歴を時系列に沿って記述する最も一般的な方法で、あなたのキャリアの変遷が分かりやすいのが特徴です。
一方、キャリア式は「運動器」「脳血管」など、経験した分野やスキルごとに職務内容をまとめて記述する方法です。
特定の領域での専門性を強くアピールしたい場合に有効な書き方となります。
理学療法士の転職では、多くの場合、経歴が伝わりやすい編年体式が適しています。自身のキャリアや応募先に合わせて、最もアピールしやすい形式を選ぶことが大切です。
活かせる知識・経験・スキル欄で専門性をアピールする方法
「活かせる知識・経験・スキル」の欄は、あなたの専門性を一覧でアピールする絶好の機会です。
理学療法士として習得した手技(〇〇療法など)や、経験した疾患領域(運動器、脳血管など)を具体的に記載しましょう。
その際、「徒手療法(経験5年)」のように経験年数を書き加えると、スキルの習熟度が伝わりやすくなります。
また、電子カルテの使用経験や基本的なPCスキルも忘れずに記入してください。
新人指導やチームリーダー、学会での症例発表といった経験も、あなたのマネジメント能力や学習意欲を示す重要なスキルです。応募先の業務に直結する知識や経験を優先的に書くのがコツです。
症例経験や研究実績の効果的な見せ方
豊富な症例経験や研究実績は、あなたの専門性を示す強力な武器ですが、伝え方には工夫が必要です。
症例経験は、個人情報に配慮しつつ「主な担当症例:脳梗塞後遺症、大腿骨頸部骨折術後など」と、疾患名を具体的に記載するとスキルが伝わります。
研究実績は、学会名や演題名を正確に記すことが基本です。
重要なのは、その研究活動を通じて何を得て、その学びを今後の臨床にどう活かしていきたいかを伝えること。
専門用語を並べるだけでなく、研究で培った論理的思考力や探究心が、理学療法士としての成長にどう繋がったかをアピールすることで、採用担当者からの評価が高まります。
まとめ:丁寧な履歴書作成が、理想の転職への第一歩
今回は、理学療法士の転職活動に欠かせない履歴書の書き方について、基本ルールから項目別の具体的な記入法、そして採用担当者に響く志望動機・自己PRの作成術、職務経歴書との連携まで、網羅的に解説しました。
履歴書は、あなたの経歴を伝えるだけの事務的な書類ではありません。
あなたの人柄や仕事への熱意を、採用担当者に初めて伝えるための大切な「コミュニケーションツール」です。テンプレートの例文をなぞるだけでなく、応募先の理念や特徴をしっかりと研究し、あなた自身の言葉で「ここで働きたい」という想いを丁寧に綴ることが、何よりも重要です。
履歴書の作成は、自身のキャリアや強みを見つめ直す絶好の機会でもあります。この記事を何度も読み返しながら、自信を持ってあなた自身をアピールできる応募書類を完成させてください。
あなたの転職活動が成功し、理想のキャリアを歩まれることを心から応援しています。
厚生労働省の履歴書テンプレートはこちらから。